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映画をみおえて

 昨日、公開中の『マイ・ブルーベリー・ナイツ』を映画館で観ました。
 ウォン・カーウァイ(王家衛)監督作品だからという理由で、他の情報は持たずに。
 ガラス越しに撮影され独特の暖かさを持って映し出されるカフェの店内でカウンター越しに語り合うジュード・ロウノラ・ジョーンズ、安酒場の中を艶やかさを振りまきながら歩くレイチェル・ワイズ、別れた妻をいつまでも諦められないデヴィット・ストラザーン、赤を基調にしたカジノ店内の妖しさ、ノラとラスベガスへ旅するナタリー・ポートマン、青いジャガーの駆けるどこまでも続く道、ニューヨークのひっそり夜にたたずむ閉店後のカフェ・・・カメラの枠に切り取られた映像はそれぞれに美しく、ハッピーエンドという結末も相まって、見終えて劇場を後にすると、なんとなく幸せな気持ちになりました。
 今日になって、はてなダイアリーではどんな感想が書かれているだろうと思い、キーワードの含む日記からいろいろな方の日記を拝見して、酷評あり、絶賛あり、これがブログかぁとため息の出るような素晴らしい評論があり、とても刺激的な「含む日記」体験をしました。
 中でもid:tuckfさんの記事は抜群に面白く、こんな記事に出会えるってすごいなあ、と心底思いました。*1

(略)純粋に映画として観る限り、非常によく出来ている。手法故に描写ごとの結びつきは薄く、緩い印象を齎すものの、しかしまるっきり別々に切り離されてはいない。このあたりに、ウォン・カーウァイ監督単独の脚本でない効果が認められる。また、個々の出来事の結びつきが緩い一方で、全体ではきちんと筋が通っているため、極めて柔らかな作品世界が構築されている。この匙加減が、表現を重視した作品には珍しい、居心地の良さを演出しているのだ。(略)
 描かれていることがすべてを説明しきった、という印象もないまま幕を下ろす物語であるため、がっちりと構成されたプロットや伏線の妙、静かながらも饒舌な表現を期待する向きには合わないだろうが、それでも豊潤な味わいを備えた映像、演出は、かなりすれっからしの映画好きに強く訴えかけてくる。しかし同時に、いつまでも浸っていたくなる作品世界とその甘い舌触りは、普通にデート・ムービーとしても気軽に鑑賞できる仕上がりだ。
 突出した大傑作ではないし、出来ればもっと印象的な台詞が欲しかったところだが、しかし観終わってこれほど心地好さを味わうことの出来る作品は決して多くない。ほんのりと記憶に留まる、秀作である。

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 - diary / nowadays

*1:こういう「含む日記」がすぐに見つかると便利なのに、と思ってしまいました。